====== ビザンチン障害耐性 ====== ===== ビザンチン障害耐性(Byzantine Fault Tolerance)===== Qubicは、**産業用分散コンピュートネットワーク**として設計されており、**極めて強力なビザンチン障害耐性(BFT)**を実現しています。 これは単なる「33%耐性」の古典的BFTではなく、**実質的に99.9%以上の悪意ノードが存在してもネットワークが正しく動作し続ける**という、他に類を見ないレベルです。 ==== QubicのBFTの核心メカニズム ==== Qubicは「**Useful Proof of Work + 決定論的クォーラム + Arbitrator最終防衛線**」という三層構造でBFTを達成しています。 ^ 層 ^ 耐性レベル ^ 説明 ^ | 1. Computorクォーラム | 最大 **325/676(約48%)** の悪意ノードに耐性 | 676台のComputorのうち**451台以上が同一の正しい結果**を提出しない限りティックは進まない | | 2. 決定論的計算 | **悪意ノードが嘘をついても即座に検出** | すべてのComputorは同一入力に対して**ビット単位で同一の出力**を生成しなければならない | | 3. [[tag:アービトレーター]](49名) | ネットワーク完全停止時の最終防衛線 | クォーラムが形成できない極端な状況でのみ介入。**状態改ざんは不可能** | ==== なぜQubicは「ほぼ100%の悪意ノードに耐性がある」と言えるのか?==== - たとえ**675/676台が悪意ノード**でも、正直な1台が正しい結果を提出すれば、他の悪意ノードはそれと**ビット単位で一致しない限り投票できない** - 悪意ノードが正しい結果を知らない限り、**正しいハッシュを生成できない**(決定論的タスクのため) - 結果、悪意ノードは**正直ノードと同じ結果を提出するしかない** → 実質的に無力化される - これが「**Honest Minority Safety**」と呼ばれるQubic独自の性質です(正直ノードが1台でもいれば安全) ==== 古典的BFTとの比較 ==== ^ システム ^ 耐えられる悪意ノード割合 ^ 正直ノードが少数でも安全か? ^ ファイナリティ ^ | 古典的PBFT / Tendermint | 33%未満 | ×(2/3以上必要) | 即時 | | Ethereum (Casper FFG) | 33%未満 | × | 経済的ファイナリティ | | Solana (Tower BFT) | 33%未満 | × | 確率的 | | Bitcoin (Nakamoto Consensus) | 50%未満 | ○(最長チェーン) | 確率的 | | **Qubic** | **実質99.85%(675/676)** | **○(1台でも正直なら安全)** | **即時かつ決定論的** | ==== 実際の攻撃シナリオと耐性 ==== ^ 攻撃タイプ ^ Qubicでの結果 | | 51%攻撃 | 不可能。過半数が嘘をついてもビット一致しないためクォーラム形成不可 | | Sybil攻撃 | 無意味。Computorは毎週のパフォーマンスで選出されるため、数量ではなく質が重要 | | DDoS攻撃(Computorへの攻撃) | 一時的なティック遅延は発生するが、ネットワークはストールしても状態は改ざんされない | | Arbitrator乗っ取り(49名全員悪意)| 理論上は可能だが、現実的には世界中に分散しており極めて困難。介入しても過去状態は変えられない | ==== ArbitratorはBFTを弱めるのか?==== いいえ。むしろ**強化**しています。 - Arbitratorは**状態を変更できない**(過去のトランザクションや残高を改ざん不可) - できるのは「次のティックを強制進行させる」だけ - 悪意あるArbitratorが介入しても、**正直なComputorが1台でもいれば次のティックで正しい状態に戻る** - つまり、Arbitratorは**ライブネス(生存性)を保証するが、セーフティ(安全性)は侵害できない** → これは「**Liveness-only Trust**」と呼ばれ、BFT理論の最先端です。 ==== 実世界での証明(2024-2025年の事例)==== - 2025年現在、Qubicは**一度も不正なティックや分岐を経験していません** - 一時的なDDoSやノード障害は発生したが、すべて自動復帰 - Moneroネットワークへのハッシュレート移行実験でも、Qubic本体のセキュリティは一切影響を受けなかった ==== まとめ ==== Qubicのビザンチン障害耐性は以下の通りです: - **理論上:最大675/676(99.85%)の悪意ノードに耐性** - **実質上:正直ノードが1台でも存在すればネットワークは正しい状態を維持** - **ファイナリティは即時かつ決定論的** - **Arbitratorは安全性を損なわず、生存性のみを保証** これは「**世界で最も強いビザンチン障害耐性**」と言っても過言ではなく、 **真の分散型ワールドコンピュータ**を実現するための基盤となっています。 {{topic>ビザンチン障害耐性 }} {{tag>ビザンチン障害耐性 computor Arbitrator }}