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Eyal-Sirer セルフィッシュ・マイニング戦略

 「セルフィッシュ・マイニング(利己的マイニング)」は、「発見したブロックをすぐには公開せず、自分だけの秘密のチェーン(プライベート・チェーン)を構築する」ことで、他のマイナーよりも不当に多くの報酬を得る戦略です。

1. 基本的なメカニズム (The Logic)

通常のマイニングでは、ブロックを見つけたらすぐにネットワークへ伝播させますが、セルフィッシュ・マイナーは以下の行動をとります。

  • 隠蔽:
    • ブロックを発見しても公開せず、その上でさらに次のブロックを見つけるべく計算を続けます。
  • 二重構造:
    • ネットワークが知っている「公開チェーン」と、犯人だけが知っている「秘密のチェーン」の2つが存在する状態になります。
  • 公開のタイミング:
    • 正直なマイナーがブロックを見つけそうになったら、隠していたブロックを絶妙なタイミングで一気に放出します。
    • これにより、正直なマイナーが苦労して掘ったブロックを「無効(孤立ブロック)」にし、自分のチェーンを「正当なもの」として認めさせます。
核心: 正直なマイナーの計算リソースを「無駄骨」にさせ、自分たちの計算効率を相対的に高めるのが目的です。

2. 「51%攻撃」という常識の打破

 この論文の衝撃的な結論は、「ネットワークを支配するには51%のハッシュレートは必要ない」という点にありました。

  • 33% の壁:
    • ネットワークの接続性が標準的であれば、全計算力の 1/3(約33.3%) を持っているだけで、セルフィッシュ・マイニングの方が正直にマイニングするよりも儲かることが証明されました。
  • 25% 以下の可能性:
    • 攻撃者がネットワーク的に非常に有利(通信が速い)な場合、わずか 25% 前後のハッシュレートでも攻撃が成立する可能性があります。

3. Qubic の Monero 実験での応用

 Qubic のレポートでこの名前が出てきたのは、Moneroのハッシュレートを「51%掌握した」という主張を検証するためです。

  • 実験の内容:
    • QubicマイナーMoneroネットワークに対し、このセルフィッシュ・マイニング戦略を実行しました。
  • 結果:
    • 実際の計算力は Monero 全体の 約28%〜35% 程度でしたが、この戦略を駆使することで、ある期間内に 51%を超えるブロック(122個中63個)を独占 することに成功しました。
  • 意義:
    • Qubic の計算力が、時価総額で遥かに勝る Moneroのセキュリティを実質的に突破できるレベルにあることを、数学的に証明したのです。
tag/eyal-sirer-セルフィッシュ・マイニング戦略.txt · 最終更新: by d.azuma