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QRL

Quantum Resistant Ledger (QRL) 解説

 Quantum Resistant Ledger (QRL) は、将来の実用的な量子コンピュータによる攻撃(特にショアのアルゴリズム)に対して安全であることを至上命題として設計された、世界初のエンタープライズグレードのブロックチェーン・プラットフォームです。

 2018年にメインネットがローンチされ、ポスト量子暗号(PQC)をデフォルトで実装した稼働中のブロックチェーンとして、最も長い歴史と高い信頼性を持っています。

1. 存在意義:なぜQRLが必要なのか?

 現在のビットコインやイーサリアムを含むほぼ全ての主要なブロックチェーンは、セキュリティの根根を楕円曲線暗号(ECDSAやEdDSAなど)に依存しています。

  • 致命的なリスク:
    • 量子コンピュータが得意とする「離散対数問題」に基づいているため、将来的に公開鍵から秘密鍵が逆算されるリスクがあります。
  • QRLの回答:
    • 最初から「量子耐性(Quantum Resistance)」を設計の核とし、量子計算機でも解読不能な数学的アルゴリズムを採用しています。

2. 核心技術:XMSS (eXtended Merkle Signature Scheme)

Image of a comparison between quantum-vulnerable elliptic curve cryptography and quantum-resistant hash-based cryptography

 QRLの最大の特徴は、署名方式に XMSS を採用している点です。

  • ハッシュベースの署名:
    • XMSSはハッシュ関数(SHA-256等)をベースにした署名方式です。ハッシュ関数は量子コンピュータによる「ショアのアルゴリズム」の影響を受けません。
  • IETF規格とNIST推奨:
    • XMSSはインターネット技術タスクフォース(IETF)によって標準化(RFC 8391)されており、米国立標準技術研究所(NIST)からも推奨されています。
  • 再利用可能なアドレス:
    • 純粋な「ランポート署名」は一回使い切り(One-time signature)ですが、XMSSはマークルツリー(Merkle Tree)構造を利用することで、一つのアドレスで数千回、数万回の署名を可能にしています。

3. 主な特徴とエコシステム

 QRL は単なる「古いチェーン」ではなく、着実に進化を続けています。

  • セーフ・ヘイブン(避難港):
    • 長期的な資産保全(HODL)を目的とするクジラにとって、量子時代を生き残るための「最も安全な金庫」として機能します。
  • ハードウェアウォレット対応:
    • Ledger や Trezorといった主要なハードウェアウォレットでネイティブにサポートされており、物理的なセキュリティと量子耐性を両立しています。
  • Project ZOND (QRL 2.0):
    • 現在進行中のアップグレード。EVM(Ethereum Virtual Machine)互換性を導入し、量子耐性を持ったままスマートコントラクトや DeFi を実行可能にすることを目指しています。

4. QRL vs Qubic vs 既存コイン 比較表

項目 Bitcoin / Solana QRL Qubic
暗号方式 楕円曲線 (脆弱) XMSS (耐性あり) Lamport (耐性あり)
量子耐性 なし (後付け困難) ネイティブ実装済み ネイティブ実装済み
主な用途 通貨 / DApps 超長期的な資産保全 AI計算 / 高速プラットフォーム
アドレス利用 容易 (再利用可能) 制限あり (署名回数設定) 容易 (再利用可能)

5. 結論:QRLの立ち位置

 QRLは、ブロックチェーン界における「究極の防空壕」です。

  • 「動かさない資産」に最適:
    • アクティブな運用とは別に、「絶対に誰にも、未来のテクノロジーですら奪われない場所」に資産を置きたい場合、QRL は唯一無二の選択肢となります。
tag/qrl.txt · 最終更新: by d.azuma