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FourQ

FourQ:Qubicの超高速署名を支える楕円曲線

 FourQは、Microsoft Research の Patrick Longa 氏と Craig Costello 氏によって開発された、高性能な楕円曲線(Elliptic Curve)です。

 Qubic においてデジタル署名の基盤として採用されており、ネットワークの圧倒的な処理速度(Tickレート)を実現するための技術的要件を満たしています。

1. FourQ の最大の特徴:圧倒的なスピード

 FourQ は、現在広く使われている他の楕円曲線(Ed25519 や secp256k1)と比較して、圧倒的に高速な演算が可能です。

  • 超高速なスカラ倍算:
    • 楕円曲線暗号で最も重い処理である「点とスカラの掛け算」において、FourQ は Ed25519 の約4〜5倍、secp256k1(ビットコイン)の約10倍近いパフォーマンスを発揮します。
  • GLV/GLS自己準同型の利用:
    • 数学的に高度な「自己準同型(Endomorphisms)」という性質を4つ組み合わせて利用することで、計算のステップ数を劇的に削減しています。

2. 128ビットのセキュリティ水準

 スピードだけでなく、安全性においても現代の標準を満たしています。

  • セキュリティレベル:
    • 約128ビットのセキュリティ強度を提供します。これは、現代の商用暗号システムにおいて「十分かつ標準的」とされる水準です。
  • 耐性:
    • 特定の攻撃(タイミング攻撃など)に対して耐性を持つように設計されており、実装上の安全性も考慮されています。

3. Qubic における役割:Schnorr 署名との関係

 Qubic では、この FourQ 曲線の上で Schnorr署名を実行しています。

  • エンジンの役割:
    • FourQ は「エンジン(計算基盤)」であり、Tick(ブロック生成に相当)を完了させますが、数千、数万の署名を瞬時に検証する必要があるため、FourQ の計算速度がなければこのサイクルは成立しません。

4. 主要な楕円曲線の比較表

項目 FourQ (Qubic) Ed25519 (Solana等) secp256k1 (Bitcoin)
開発元 Microsoft Research Dan Bernstein 等 業界標準 (Certicom)
計算速度 最速 高速 低速
主な利点 4つの自己準同型による最適化 実装の容易さと安全性 圧倒的な普及度
Qubicでの用途 デジタル署名の基本演算

5. 結論:なぜ FourQ なのか?

 Qubic は単なる分散型台帳ではなく、AI学習(uPoW)という膨大な計算リソースを扱うプラットフォームです。

  • スケーラビリティの鍵:
    • 署名検証という「暗号のオーバーヘッド」を極限まで減らすことで、CPUリソースを本来の目的である AI 学習や複雑なスマートコントラクトに割り振ることが可能になります。
  • 技術的先見性:
    • 標準に甘んじることなく、効率を最大化するために FourQ を採用した点は、Qubic の「技術至上主義」を象徴しています。
tag/fourq.txt · 最終更新: by d.azuma